生き方・社会構造を語る内田樹の本はなぜ読みやすいの?お勧め本ベスト10

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内田樹さんは様々な分野に顔を出していまして、かなり有名で、新聞や雑誌のコラムなどに触れて本を読みたいと思っている人も多いのではないでしょうか。

しかし、あまりにも著作が多い!

内田さん本人も言っていられるように月刊内田樹の勢いで本が出版されています。

しかも様々な分野で。

 uchidayanagiba

さて、どの本から読み始めたらよいでしょうか?

ここでは単純に

1、アマゾンレビューの数が多い本が心動かされる本(良し悪し共に心が動かなければとても書こうという気にはなりません。単純にレビュー数はその本の影響度ととらえました。ひとまず。)と見て

2、星★の数(本の得点)の数とレビュー数をかけた「積」が本の良さじゃないかなと解釈した編集者の主観のおすすめ本にしてみました。

「さて、どの本から読んでみようか」という場合、やはり多くの人の心を動かした本から入るのは賢明だと想います。

ただし、内田さんの本はたいがい面白いです。上位に来ない本は市場が大きくない世界の本が多く、対象読者が少ないだけです。

インデックス

  1. 内田樹先生について(経歴から文章の達人になるまでを推理する)
  2. 各種データから順位づけ
  3. おすすめ本ベスト10

という構成で行きます。

 

1、内田樹先生について

何故内田先生はその場所に現れたか。

やっぱり誰も守備していなかった場所だったのだと思います。以下、私達に親しみやすい書籍を届けてくれるまでを追ってみます。

  • 学生時代、親友平川氏と翻訳会社を立ち上げた。
  • 色々言う人(ビジネスや経済を知らないくせに)が居ますが内田氏は学生時代に学問ではなく、実際に商売に触れその世界の大変さと面白さを知っていたのである。
  • その仕事の中にはアメリカのアップルコンピュータの最初のパンフレットの翻訳も有ったという話です(取説だったかも)。凄い話ですよね。
  • ご存じの通り内田先生はPCはもちろんツイッターの初期からの使い手です。メカは強くないようですが使い方はいつも先端ですね。
  • 翻訳は、いかに読みやすく解りやすく書くことではないかと思います。内田先生は難しいものを「解り易く編集し書き出す」ことに自分が天才的な技能を持っていることに気づいたのだと思います。そうとしか思えません。
  • 内田先生の文章は様々な試験問題に採用されています。試験問題に採用される文章という事です。正しい日本語の文体であるという事だと思います。ただし、この件は内田先生がご自分の書いた文章は断りなしに自由に使って良いという宣言をしている側面もあります。「文章を使わせてください」というようなことを試験問題を作る人は言わなくても良いのです。
  • 自由に無料で断りなしに使って良い、これはコンピューター界のGPL (GNU General Public License)の思想に沿っており、フリーあるいはオープンソースソフトウェア用のライセンスとして圧倒的な人気を持っているとされます。内田先生は自分の権利として囲わずに社会に「どんどん勝手に使ってね」と差し出したのです。ということで内田先生の文章が溢れるように採用されていったのです。
  • 東大でフランス文学を勉強していた内田先生は難解中の難解と言われるレヴィナスの翻訳に呼ばれている気がしたのではないかと思います。
  • 内田先生はビジネスの世界から大学の世界に戻ります。
  • 「下流思考」というベストセラーが有りますが、これはある学者が表した専門書に触発されて書かれたものです。本人がそう言っています。つまり一般市民がわかるように言わば「翻訳」したのです。これはベストセラーとなり、多くの人に届きました。素晴らしいことです。
  • この世の書籍のほとんどは実は他人が作った・書いたものが元になっている訳で完全なオリジナルはあり得ません。見えないもの解らないものを解るようにして届ける。神父さんも教師も営業マンも文筆家も、きっとすべての人の言葉がそれなんですね。
  • 内田先生の書籍はこの世の成り立ちを教えてくれます。今日も内田先生は何度も何度も文章を見直し、日にちを置いて「塩抜き」をして極上の文章を届けてくれます。感謝。

 

 

2、各種データから順位づけ

  • レビュー数が20件以上である本を抽出
  • その次にその本の★の数を添付
  • その2つの数字をかけた数字がその本の人気度という事にしました。
  • 初心者もそういう本から読み始めた方が絶対楽しいはずです。

ということで

レビュー20以上の23冊を抽出

さらに★とその積を記述し、それぞれの上位に赤色をつけてみました。

書名 発売 レビ
ュー

一神教と国家 イスラーム、キリスト教、

ユダヤ教 (集英社新書)

2014 36 4.2 151

ためらいの倫理学 戦争・性・物語

(角川文庫)

2014 27 4.1 111
邪悪なものの鎮め方 2014 27 4.3 116
修業論 (光文社新書) 2013 22 4.5 99

評価と贈与の経済学 (徳間ポケット)

:共著岡田斗司夫

2013 32 3.9 125

疲れすぎて眠れぬ夜のために

(角川文庫)

2012 50 4.2 210

9条どうでしょう (ちくま文庫)

共著 平川克美・町山智浩・小田嶋隆

2012 29 3.5 102
「おじさん」的思考 (角川文庫) 2012 21 3.6 76
14歳の子を持つ親たちへ(新潮新書) 2012 31 4.0 124
呪いの時代 (新潮文庫) 2011 22 4.0 88

ひとりでは生きられないのも芸のうち

(文春文庫)

2011 31 4.5 140
街場のメディア論 (光文社新書) 2010 67 4.3 288

若者よ、マルクスを読もう 20歳代の模索と

情熱 (角川ソフィア文庫) :共著石川 康宏

2010 55 3.5 193
日本辺境論 (新潮新書) 2009 144 3.5 504

下流志向〈学ばない子どもたち 働かない

若者たち〉 (講談社文庫)

2009 44 3.9 172
街場の教育論 2008 33 4.2 139
村上春樹にご用心 2007 25 3.9 98
増補版 街場の中国論 2007 30 3.9 117

下流志向〈学ばない子どもたち

働かない若者たち〉 (講談社文庫)

2007 90 3.5 315
私家版・ユダヤ文化論 (文春新書) 2006 38 4.2 160
先生はえらい (ちくまプリマー新書) 2005 35 4.1 144
寝ながら学べる構造主義 (文春新書) 2002 78 4.3 335

 

 

3、お勧めベスト10

次にベスト10です 上記の「積」の上位10冊です。ただし、「下流志向」は文庫本と2冊入っているので合計しました。

以下です。

  1. 日本辺境論
  2. 下流思考
  3. 寝ながら学べる構造主義
  4. 街場のメディア論
  5. 疲れすぎて眠れない夜に
  6. 若者よ、マルクスを読もう
  7. 私家版・ユダヤ文化論
  8. 一神教と国家 イスラーム、キリスト教、ユダヤ教
  9. ひとりでは生きられないのも芸のうち
  10. 街場の教育論

番外:呪いの時代 (新潮文庫) (このまとめ人のイチオシです。つまりわがまま押しです)

疲れすぎて眠れない夜に・ひとりでは生きられないも芸のうち、この2冊が入っているのが内田先生らしいです。

以下、具体的に紹介します。

いずれもカスタマーレビューがいっぱいです。アマゾンのページにリンクしていますので参考にしてください。すっかり読んだ気になっちゃいそうなものも有ります^^

 

1、日本辺境論

・・・ベストセラーになりましたよね

文明の辺境にある日本。その民族性について実に多くの切り口で語ります。

カスタマレビューは今現在(2015年1月末)なんと144件、多くの人が読んで感想を寄せています。

レビュー144、★3.5

 

2、下流思考

自分の学業成績を上げるのと同学年の人達の成績を下げるのとは同じである。

損得計算し、コストパフォーマンスの良い方法を選択する子供達・・・。

なぜ日本の子どもたちは勉強を、若者は仕事をしなくなったのか。

カスタマレビュー、単行本と文庫本合わせて134という影響力です。

レビュー134 ★3.5

 

 3,寝ながら学べる構造主義

構造主義って20世紀の現代思想の一つらしいです。

「そういう構造をしているからそういうことになった」という事らしいです。

難しい学問なんですが「寝ながら学べる」としたあたりが解り易く翻訳する内田先生ならではですね。

レビュー78、★4.3

 

 4,街場のメディア論

新聞やテレビという既成のメディアはどうなるのか、自らICTを駆使し、新聞やテレビなどのメディアにも接している内田先生ならではの見解。

内田先生自分の書いたネット上の文章は誰でも二次利用ができるというネット社会のGPL的な思想を早くから実践。

インターネットはある種思想でもあるのですが新聞やテレビはその辺がよく解っていないのでしょうね。

レビュー・満足とも高い一冊。メディアに興味が有りましたら。

レビューが67軒、★も4.3

 

 

 

5、疲れすぎて眠れない夜に

 内田先生初期の1冊、『おじさん的思考』など傑作本の中の1冊。切れ味よく明快で解り易く納得できる1冊、内田先生を理解しやすい本かもです。

タイトル名が良いのかレビューが42、★も4.2、満足度高い1冊ですね。

 

 

 

6、若者よ、マルクスを読もう

 資本論や共産党宣言などを著作したマルクス。石川 康宏氏との共著。

マルクスを知る1冊。単行本と合わせてレビュー58、★3.3

 

 

7、私家版・ユダヤ文化論

 ユダヤについて各方面から切りこみます。内田先生の師レヴィナスもユダヤ人です。サルトル・レヴィナスとフランスの思想家にも触れてゆきます。

レビュー38、★4.2

 

 

8、一神教と国家 イスラーム、キリスト教、ユダヤ教

 2015年1月のイスラム国の日本人拘束事件の際にも注目された中田考氏との共著。一神教のイスラーム、キリスト教、ユダヤ教の理解に近づけます。

レビュー36、★4.2

 

9、ひとりでは生きられないのも芸のうち

 「一人で生きて行ける」「自立」とかではなく、一人では生きて行けないという立場をとるのが生きやすさというか、そうするのが最も人間の理にかなっているようなことを書いてあったような記憶。大騒ぎするような派手なお話しでは無いのですがじわじわと来ます。

レビュー31、★は最高の4.5という高評価です。

 

10、街場の教育論

 大学の教授として教育の最前線に居て常に提言をされてきた内田先生。

 学ぶことに関しての内田節が炸裂?

レビュー33、★4.2

 

 

番外、ブログ主おすすめ「呪いの時代」

 様々な目的の為、正義の為に人を呪うような言葉がデモ現場やネット上に飛び交っていますが、それらは全て自分をも苦しめてきます。

そして、自分はなりたい理想像の自分ではなく、今ここに居るパッとしない生身の自分だけが自分であり、それを愛することが大事。その為には他人中に自分を見出し許すことで自分もゆるし、愛して行ける。・・・深い真実の言葉が散りばめられています。 これも救われる一冊です。

ぜひこの本のレビューも読んでみて下さい。

レビュー単行・文庫計26、★4.1

 

 

以上です。

疲れた時、心に元気を灯したい時、ぜひ内田先生の文章に触れてみて下さい。

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