中越地震から10年以上、今知る災害時の老人福祉施設と職員の熱い使命感。記録のWeb化は重要です。

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最後のあいさつで会の代表が言われました。

福祉施設の方々はこんなにも自分たちの仕事の使命感を感じて、そしてそれを粛々と実行する熱意があったのか

この言い方では無く別だった気もしますが、おおよそこのようなことを言われた。

よかった。

話を聞いてて、こんな凄いことをやっていたのか、それを私は10年も知らなかった。

情けないと、思ったが、様々な席に出ている代表の方でも初耳の事はあったようだ。または、ほぼ知っていることだが改めて取り組みの素晴らしさを強調されたかったのかもしれません。改めても驚くようなことなのです。

おそらくこの話は地震直後から話されているのだろうが、同業者にとっては目新しくも無く、記録する行政の方々は、民間業者が好きでやっていることに感謝はしてもいちいち関わっては来ない、むしろ特定の業者にかかわるべきではないと思っているかも。記録集を編集する人達も、アーカイブスを作る人達も、おそらく行政関係、淡々と大げさにならず各項目を公平に並べ、とり扱ったものと想像できます。

しかし、チーム中越という民間団体が民間から資金支援を受け開催した講習会でそれの驚く人たちが続出した。

まことに良い講習会だった。

これを企画した中越防災安全推進機構を事務局とするチーム中越には敬意を表したい。

 

さて、こういう手順でまとめます。

老人福祉施設のお二人のお話し。

  1. こぶし園 中越地震の取組み 吉井康子 総合施設長
  2. 同 東北福祉大の完結ボランティアサンダーバードの発想
  3. サクラーレ福住 中越地震の取組み 冨田幸二 施設長
  4. 同 東日本大震災時の取り組み
  5. 驚愕!福祉施設の使命感と情報Web化の重要性

 

1、こぶし園 中越地震の取組み

デイサービスセンター千歳

(中越大震災の後、長岡南操車場(長岡駅と宮内駅の間)に作られた大仮設住宅団地が作られた、その中に作られたプレハブに「デイサービスセンター千歳」が入った)

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前総合施設長の小山さん(地震前後に何度かお話しさせていたことがあります。温和な方ですが熱意のあるお方でした。)が中心となりボランティアで作られたのが上記の施設です。

今日、後任の(小山さんはご病気で昨年2015年に亡くなられた)吉井康子さんのお話しだと老人福祉の全機能・全サービスがプレハブの中に作られていたという。いわゆるデイサービスセンターとかのサービスである。

なんと、まるごとこの施設の中にあったそうです。

老人福祉は形態によって細かく分けられています。

ここで行われたサービス

  • 通所介護 : 利用者が通所介護の施設(デイサービスセンターなど)に通い、施設では、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供します。生活機能向上グループ活動などの高齢者同士の交流もあり、施設は利用者の自宅から施設までの送迎も行います。(厚生労働省
  • 訪問看護(サテライト) : 利用者様のご家庭を訪問し、病状や療養生活を看護の専門家の目で見守り、適切な判断に基づいたケアとアドバイスで、24時間365日対応し、在宅での療養生活が送れるように支援します。(全国訪問看護事業協会
  • 訪問介護(サテライト) : 訪問介護事業所のヘルパーがご利用者さまの自宅を訪れ、身体介護や生活援助など、日常生活のサポートをしてくれるサービスです。(安心介護
  • 在宅介護支援センター(サテライト) : 介護を要する在宅の高齢者とその家族を対象に,市町村の福祉サービスや専門家による相談・指導が常時受けられる施設。(weblio辞書
  • 配食サービス(3食365日) : 配食サービスでは、栄養バランスを第一に考えた食事をご自宅までお届けすることで健康の維持・向上だけでなく、自立生活の継続や介護予防などを支援することを目的としています。(配食ねっと
  • 地域交流スペース
  • 介護予防事業
  • 心のケア
  • 各種相談室

とのことです。すごい。  ほぼフルスペックの老人福祉があのプレハブの内外に有ったのです。

 

さらに特筆すべきことがありました。

 

2、 同 東北福祉大の完結ボランティアとサンダーバードの発想

当時の小山総合施設長の母校東北福祉大学から学生がボランティアしたいとの話が有った際

「とても宿や食事の手当は出来ない、自前でできるならお願いしたい」というような返事をしたところ・・・

なんと!

2階建てのプレハブを持ってきてそこで宿泊や食事を自前で行ったとか。

画期的

東北福祉大学の「ボランティア支援課の歩み」には以下のように記録されています。

【学生】
・新潟県中越地震が発生。プレハブを設置し、150名が2ヶ月間避難所等にて生活支援活動を行う

 ※ 実は長岡技大の木村悟隆先生が写真を撮られとのこと、お借りしました。

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上の写真は入り口と炊事場のようです。プロパンでちゃんと自炊されていたのですね。

下は、寝室でしょうか、きちんとたたまれています。車は東北福祉大学のマイクロのようです。

全て完結したボランティアだったのですね、素晴らしい。

 

hukusidaigaku2

 

実は、この、長岡(介護丸ごとのプレハブ)と東北福祉大(宿泊・食事まるごとのプレハブ)がサンダーバード構想に繋がったとかいう話も聞きました。

サンダーバードの2号の事ですね。

何でもコンテナでまるごと運ぶのです、スペースシャトルもこのアイデアですよね。

福祉サービス・ボランティアもまるごと持って行こうということです。

一般の災害ボランティアも宿泊・食事は自前という事が鉄則です。

被災地には人が居ないのです。自分ですべて完結させる。

福祉もまるごとという発想です。

その後認定NPOになっています。

災害福祉広域支援ネットワーク・サンダーバード

 

 

3、サクラーレ福住 中越地震の取組み

こちらも、とにかく素晴らしい活動をされました。

この施設は社会福祉法人三古老人福祉会に属しており、その三古老人福祉会全体の中越地震時の活動がまとめられています。

10.23新潟県中越地震 被災者支援 活動の様子(PDF)

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より解り易くするためこの中から、主なものを引用、まとめます。

  1. 入浴の提供 6施設(避難所へマイクロバス運行) 10/27~11/30  9,316名
  2. 緊急ショートステイ受入 6施設 10/23~11/30 292名
  3. 配食サービス 12/10~12/26 2,399食
  4. 全国からの介護ボランティアの受入 延べ552名

 詳しくはPDFをご覧ください。素晴らしい活動です。

 

さらに3.11の活動も

4、同 東日本大震災時の取り組み

東日本大震災 活動の様子(PDF)

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より解り易くするためこの中から、主なものを引用、まとめます。

  1. 新潟県内でも十日町の地震への支援を検討する中、東北の悲惨な状況が報道され、福島県より新潟県へ要介護高齢者130名の避難受け入れ要請が来た。 受入を決定した、が、大型バスで移送の予定が重度の要介護状態の方も多く困難である事が解る。
  2. そこで、協議の上、リクライニング車椅子対応車両、燃料補給用の給油車両、看護師とベテランスタッフを派遣する計画を実行することに決定。
  3. 3月21日、大型バスで移動できる入居者88名到着、9施設で受入。
  4. 3月22日、職員44名と車両23台で(とにかく大編成ですね)出発、福島南消防署にて引き継ぎ(上記PDFの写真が受け渡しの写真)、入居者29名、職員8名の受入完了。

以上、とにかく長岡から福島まで23台の福祉車両で出発、事故も無く作戦を完了したわけです。

凄いというか、立派というか、その使命感に脱帽です。

アマゾン検索:老人福祉

 

5、驚愕!福祉施設の使命感と情報のWeb化の重要性

 今回お話をお聞きしたのはこの2施設、チーム中越の企画です。

チーム中越

チーム中越では、中山間地ならびにアジア諸国等で発生した災害に対して“顔の見える”復興支援を行うと共に、互いの被災・復興の知見を共有し、高め合うことで、一方的に支援するだけではない、大いなる学びの循環を作り上げつつ、同時に人材の育成も行っていきます。

 実は、この勉強会は民間からの寄付によって運営されています。

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 10年間、なかなか知る機会が無かった老人福祉の現場の災害対応を聞き、参加者一同感動です。

多くの方が、防災についての専門家なのですが知らないことが多かったのです。

 途中に地ならしをする団体や行政を挟まないで直接聞くという事の重要さを認識した講習会でした。

また、Web情報発信が適切になされていれば、知りたい人には届いていた訳で、災害・防災活動のあるがままの、あったままの情報を残すことと、それが見つかりやすくすることは極めて大事だと思います。

同じ事態に直面した人と、一般国民に民間福祉の人たちはここまでやっているという事が伝わること、その仕組み作りの重要さを改めて認識した次第です。

Webの専門家(やるべきはこの方面の人たち)の私の反省も含めて、読みにくいでしょうが調べやすいようにレポートしました。(早速「老人福祉 使命感」検索で3位になりました)

 

老人福祉関係の皆さん、影でのお働き、本当にありがとうございます。

 

最後に主催者のまとめをリンクしておきます。

どちらの施設も地域とのつながりを大事にされていられた。災害時に地域の被災老人を捜し引き受けられた活動を取り上げられています。

今回の講習の本質はそこなんですよね。お読みください。

第8回協働型災害ボラセン勉強会「災害時の高齢者支援を考える」を開催しました。

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災害支援は、緊急時だけでなく、避難所から仮設、そして地域再生まで連続して支える仕組みを作る必要があるというのが、とても印象的でした。

介護が必要な被災者の施設への受け入れや厨房施設を活かした炊き出し、入浴支援

どちらもこういった過去の災害の経験を生かして、地域とつながりができるよう施設の運営を行っているのが特徴的であり、地域側からももっとどのような福祉施設が地域にあるかを知った上で、災害時にどのように対処したら良いかを地域として検討しておく

 

 いかがでしょう、防災の人達は一般社会とのかかわりを最も重視しています。

これを読んでいるあなたのことでもあります。

 

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