センゴク権兵衛 19巻

戦国時代の漫画として、かなり画期的な展開。

ヤングマガジン連載の宮下英樹作の傑作マンガ。

19巻は秀吉による北条家小田原城攻め。

権兵衛の率いる仙石隊とその他浪人隊は早川虎口を攻め、ついに落とす。

 

戦闘シーンが主体だが、非常に分かり易い。

小田原城早川虎口の特殊な構造、そこに突入する際に様々な駆け引きが行われ、そして何よりも仙石権兵衛の戦闘力の強さ。

そして可児才蔵も参戦しており、その強さも描かれている。

戦国最後の方の戦い、一人の武者の力が戦場においてまだ凄かった。

また、それぞれが自己判断できる力を持ち、その上で一つの目的に結集して戦う、そんな牢人軍団の強さも描かれている。牢人物頭数人の個性の描き方もよかったね。強いわけだ。現代の組織比較にも通じるものが有りそう。

北条方は正規軍の他に農民が兵になった軍もあり、その辺の対比、さらに北条方の虎口の責任武将笠原正巌(かさはらしょうがん)とその配下の武将との戦い方の違い確執、それらがまた見事な戦いをして敗れてゆく。

 

戦いの後、復帰した鉄砲の名手ソバカスとの主従の会話もまた友情が描かれていた。

さらにこの物語の大事なキーマンである堀久太郎が「実」と「花」について語るシーンも仙石権兵衛という存在は何か語ってくれています。

久しぶりに仙石隊に合流した酒匂彦三が誰もやりたがらないやっかいな戦後処理を引き受けて各家を回るのだが動けば思ったよりも好意的に受けてもらう点、現代でもクレーム処理なんてそういうものであることを、人間なんて頭をきちんと下げれば辻るものであることをうかがわせる。

最後に、権兵衛が秀吉を訪ねて謁見するシーンは見もの。

いつぞやの連歌師(13巻に得てきたあの方(古田織部?)、深い縁になる)が各コマの片隅で仰天している姿が面白く、権兵衛の並外れた個性を描くことに寄与している。

この謁見シーンは今後豊臣・徳川の世で果たすべく物を描いているのではないかと思う。

面白かったっす。