外に出てみたい、安全な囲いを破って危険な自由へと身をさらす。
冒険家とまでいかなくてもある程度手軽に自然の中に冒険に入ることができる時代になりました。
美しくて刺激的な自然は時には極めて危険なものになるのでした。
今回2015年1月の新潟県湯沢町のかぐらスキー場外で起きた遭難事故は様々な教訓に満ちていました。
個人的には「無謀な遭難事故」ではなく、「神楽ケ峰山域でバックカントリースノーボードというスポーツでの事故」だという認識です。甘い判断も幾分かはあったけど、それは未知を開く、冒険する人には欠かせない要素でもありますし、装備やその他の判断力・実行力はむしろ素晴らしく、同行の女性2名を無事に生還させました。
遭難は判断が甘かったとしか言えませんが、生還は別です。このまとめは生還に重しをかけたものです。
謝罪会見も引き受け、恥ずかしい姿、泣き言を全国に晒す、その勇気とその判断力にも脱帽です。私がこういうまとめをしているのもそれに心が動いたからです。
横道にそれました、何よりも「2晩も行方不明で3人全員が無事大きなけがもなく生還したこと」がこの遭難事故の大きな特徴です。
今回の事故の概要を調べ、遭難した過程・助かった要因を見て様々な危機管理に役立てればと思います。
- 今回の事故のあらまし
- バックカントリーとは
- かぐらスキー場
- 遭難の過程 判断ミス
- 装備・救助に至る 判断力
- togetterまとめ「かぐらスキー場遭難生還「二晩生き延びた」に教訓を見た人のツイート」
1、今回の事故のあらまし
スポニチアネックス:「バックカントリースノボ」遭難3人救助 「届け提出」とウソ
引用:
2日午前中にスキー場のコース外に出て、天然の斜面を滑る「バックカントリースノーボード」を楽しんでいたが、夕方ごろ道に迷った。コース外のこの場所を滑るのは5回目だったが、普段より雪が深く景色が違ったという。
夜間は持参していたスコップで雪に横穴を掘って3人で座り、深く眠らないよう声を掛け合いながら防寒用マットで体をくるんで過ごした。
同新聞のその他の情報も含め整理すると
- 1月2日の午前中スキー場のコース外に出て、天然の斜面を滑った。
- それはバックカントリースノーボードといわれている。
- その場所は5回目だが雪が深く景色が違った。
- ・・コース外に出る際、登山届の提出を呼び掛けているが出していない
- ・・コース外へ出るゲートでスキー場の係員に「提出した」とうそを言った
- 持参したスコップで雪洞を掘り深く眠らないように声かけあい防寒用マットで体をくるんで過ごした。
- (1夜明けた)3日は吹雪のため下山できず
- 2晩目も雪に穴を掘った
- あめやチョコレートで空腹をしのいだ
- 4日早朝から山の尾根を歩いていた
- 午前8時50分に県警のヘリが発見した
2、バックカントリーとは
グーグル画像:バックカントリースノーボード
Wikipedia:バックカントリースノーボード
- 一部引用: 徒歩あるいはリフトや車両、ヘリコプターを利用して雪山を登り、リゾートエリア外(オフピステ)を滑る。リゾートのように管理された範囲外での滑走となるため、より高度な滑走技術だけでなく、雪崩のリスクマネジメント、応急手当など、安全に関わる知識を学ぶことや、専用の装備が必要である。
コースを外れたとか、新雪を求めてコース外に出たとかではない、初めからバックカントリースノーボードをするつもりだったようである。
3、かぐらスキー場
- Wikipedia:かぐらスキー場: かぐらスキー場は新潟県南魚沼郡湯沢町にあるスキー場で、日本屈指の広さを誇る。 ※事故はこのスキー場の外で発生しました。
4,遭難の過程 判断ミス
最初の1にあることから推論も含めてあげてみます。でも、これはこの3人の方だけで無く、普通に冒険心を持っている多くの人に言えることだと思います。私も少ないながら冒険心がありまして登山やスキーやMTBをやっていましたので少し解ります。
目の前に美しいフィールドがあって、状況を見てマイナス要素が少なければ、決定的な危険が見えなければそこに乗り出すだろうと。
- 可能な状況だったらバックカントリースノーボードをやるつもりだったようだ。
- このコースは5回目で有り、できると判断したが、実際は積雪で景色が違うくらいの状況だった。・・・ここに最初の判断ミスがあるように思いますが、入り口がいつもと同じ感じだったら判断を誤りそうです。でも前日1月1日のアメダスを見ると50cm弱の積雪があったことが解ります。新雪が楽しみなスポーツなので何とも言えませんが判断材料にはならなかったのか(多すぎるとか)
- ・・コース外に出る際、登山届の提出を呼び掛けているが出していない・・・登山届け、個人的には紙を見つけて記入し提出も解りますが、そろそろスマホでできるようにしても良いように思います。心配性がメンバーに一人いればそれでOK,入力も簡単だろうし。(紙と電子のどちらでも提出できるのが一番いいように思えます。ICT技術でいろいろできそうなんですが・・・これ御嶽山の時も感じましが、どうか本気で検討(利用者負担で)してほしいです。)
- ・・コース外へ出るゲートでスキー場の係員に「提出した」とうそを言った・・・これはかなりまずいですが、気持ちはわかります。私はこういう場でウソは言えませんが「提出した」と言う人もそこそこいると思います。 係員との間に「まるまる自己責任ですよ、いいですね」ということが成立した瞬間ですね。
- ほかにもバックカントリースノーボードをやっていた人がいたかどうかは不明ですがコースの状況判断・登山届け未提出の点に油断があったものと思います。
5,装備・救助に至る 判断力
で、遭難してしまうわけですが、そのとき準備していた装備を見てみます。
- 折りたたみスコップ
- 防寒用マット
- 食料
個人的感想
- バックカントリースノーボードというスポーツの装備が上記2のWikipediaにあります。そこには装備として「スノーシュー、輪かんじき、ストック、ウェア、バックパック、ビーコン、プローブ、シャベル」があります。その多くが揃えられていた感があります。 雪洞を掘って防寒用マットにくるまって二晩を過ごす。すばらしいです。
- 雪洞を掘る判断、吹雪の日に丸1日動かなかった判断、救助に目立つように、安全なように尾根を登る判断、実際にその尾根ルートで発見されるわけです。
- 今回の装備・判断について、是非お話をされるか書いてもらって真実を広く伝えていただきたいところです。
何を使われていたかは不明ですが、気になる人はチェック
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6,togetterまとめ「かぐらスキー場遭難生還「二晩生き延びた」に教訓を見た人のツイート」
今回の生還に関して素晴らしいことだと思う人がやはり多くいました。
助かってよかった!雪洞に2晩ビバークして助かるなんて奇蹟だ。
県警も悪天候の中でよく救助したものだ。
だけど以前私もウインドサーフィンやっていたけど「流されて板に
しがみついていれば助かるなんて甘く考えるなよ。スキー場と違い
海ではすぐにスノーボードがきてレスキュウされるもんじゃないん
だぞ。」とベテランに脅かされたことを思い出しまた。
今回の捜索費、ヘリの油代は誰がはらうのしょうか?