日本の新潟県長岡市にある山古志闘牛場は山の頂上のブナの森の中にある「牛の角突き」のスタジアムです。
かつては各農家に飼われていた牛同士の闘いが今日も行われています(それは江戸時代の里見八犬伝というベストセラー本にも記されています(取材は鈴木牧之という豪華さ))、今闘っている牛は農耕用ではなくこの戦いの為に飼われています。
ここの闘いの特徴は戦いの決着をつけない、怪我はさせないという事です。
片方の牛の戦意が落ちた時や片方の牛の攻勢が危険になった時(勝負あり)に勢子の人達によって闘いは終了します。劣勢の牛の心も傷がつかず、また戦うことができるのです。(このいたわり合う心が一番大事なところです)
その平和な闘いに国は無形文化財とし、中越地震の復興時には天皇皇后両陛下が長岡に来られ歌を詠まれました。
世界で一番美しい闘いの場で開催される世界で一番平和な戦い。
2017年5月4日、この年の初場所を見に行ってきましたので、その観点からレポります。(世界一美しいはもちろん主観です^^)
1、息をのむほど美しいブナの新緑、下記写真の森が山の頂上、まさに山の頂上にある闘牛場です。
(※クリックで拡大します)
2、スタンドからの観戦、新緑と青空が美しい
3、ブナの森の中からの観戦
4、闘牛場全景
5、越後山脈が直ぐそこ、スタンドの先に見えるのは荒沢岳
6、スタンドの下、居心地の良い場所です。
7、半円状の旧スタンドの出入口、趣があります。(映画マリと子犬の物語の重要シーンに使われた場所)
8、暑い時はブナの木陰からの観戦が一番
9、闘いを引き分ける瞬間、牛の足にロープをかけ牛同士を離します。勢子の方々の一番危険な瞬間。
10、ブナの森の中の牛たち、出番が終わったのか、出番待ちなのか
11、話しかけるように牛の体をさする、おそらく飼い主さん。
12、山の頂上なので上り下りがけっこうあります。でも景色は抜群、下記で見えているのは越後三山と荒沢岳。
13、駐車場の脇の養鯉池から望む越後山脈、左から荒沢岳、越後三山駒ケ岳・中ノ岳・八海山、右端は巻機山。そうでした池の中には世界一美しい魚、錦鯉がいます。山古志が錦鯉発祥の地です。
14、最後になりましたが天皇皇后両陛下の歌碑が頂上付近にあります。この日は満員でこの辺りにもお客様が来ていました。
天皇陛下御製
なゐにより
避難せし牛 もどり来て
角突きの技 見るはうれしき※「なゐ」は地震のこと
皇后陛下御歌
かの禍ゆ
四年を経たる山古志に
牛らは直く角合はせる
山古志での牛の角突き再開は皇室からも復興の象徴としてお喜びいただいているのです。
やはり山古志の牛の角突きはただの闘いではなく神事なのです。(※隣接する小千谷市東山地域の角突きも同様です。)
以上、美しいスタジアムと平和の闘いの紹介でした。
ここは闘いの聖地です。
付録
★山古志闘牛場空撮(ドローンによる撮影):山の頂のブナの森の中にある闘牛場であることが良く解ります。(上記闘牛大会の少し前の撮影です)
★2010 グッドデザイン賞:闘牛場の空中観覧席増築+メモリアル・ギャラリー新設+すり鉢状ランドスケープの整備 [山古志闘牛場リニューアル]
訪れた人達だけでなく、この美しいスタジアムは専門家からも讃えられています。
★角突き開催の日以外は無料で入場できます。
それだけでも十分楽しめる場所です。
どうぞ、山の頂上のブナの森・新旧折り重さなった観戦スタンド・円形の闘牛場の臨場感・両陛下の優しい歌碑 を。