「謎の峠主が呼ぶ、日本一長い手掘りトンネルの上、難所中山峠を残雪期に挑戦、2」の続きです。
私たちはかんじきツアーです。
一応かんじきは持っています。が、雪は締まりかんじきは不要。
さらに天気も良くブナ林も越後の山々も山菜も私達を歓迎。
私たちは峠を緩やかに下ってゆきます。
遠くの山が見え、 雪の中に桃の木?桜の木?が咲いています。
坂道を下って振り返ると・・・
待っていたのは今通り過ぎようとしたこの桜の木でした。
誰も「呼んだのは君?」と聞きません。
この木が呼んでいたのです。
青空の中に見事な枝を広げ花をいっぱい満開にして、真っ白な雪の上にすっくと立っていた。
その見事さに一同立ち止まって動けません。
今回のツアーで唯一の女性が思わず雪の土手を駆け上がります。
ということは、この桜は男性かもしれません。
この写真を見るとスマホで桜と女性が交信しているみたいです。
「今日この時があなたが一番きれいな時なのね」
「そうなんだみんなに見てもらいたかった」
植物の多くは動物に受粉を手伝ってもらい、愛でてもらい植えてもらっている。
動物や人間と深くかかわって生きているのだ。
花を美しく感じること、それ自体が既に奇跡で、植物との深い深~いかかわりを示している。
この古木はおそらく中山隧道が出来る前からここで多くの峠越えの人達を見送ってきた木だろう。
こんなに雪が残った雪原と青空と枝ぶりと満開の花びら。自信満々の晴れ姿。
ひっそりと咲き、散るのは悲しい。
私たちはそこで予定外の休息を取り記念撮影をした。
なによりこのルートに慣れたガイドの区長さんがカメラを取り出して驚いたように撮りまくっていた。
私たちはとんでもない者にいざなわれてこのツアーに参加していたのだ。
(クリックで大きい写真にリンク)
桜は望み通り人々に観られ感嘆され撮影され、全国にネットで配信される。
一期一会そのものを後に、私たちは歩を進める。
無事に水沢集落に降り、舗装道路を登り隧道の反対側の入り口に着いた。
この隧道が出来て、村人は大いに助かり、あの振り返りの桜は忘れられていった。
用意したヘルメットをかぶって隧道に入ります。
掘った人々の苦労がそのまま残されています。
無事スタート地点、山古志側の出口にたどり着きました。
さて、食事は農家レストラン(これが大繁盛)で山菜天ぷら定食
天国にいるかのような1日でした。