気軽に来てもらう → 市民参画という オハナシ。
外部の力をいかに受け入れるか・・・。
隈研吾氏の「負ける建築」と河井孝仁教授の「弱みを見せる」が組み合わさると凄いのでは・・・
負ける建築
建築家の隈研吾さんの有名な言葉の「負ける建築」というもの。
コトバンクによると
負ける建築:「・・・周囲によく馴染み、様々な外力を受け入れる柔軟な建築を目指すべきだと主張する。建築家個人の美意識よりは社会との対話やコンセンサスを重視し、・・・」
勝ち誇っていない建築、訪問しやすそうです。
隈研吾さん設計のアオーレ長岡は市役所の中央部がポッカリ空いて隙を見せ、なおかつそこが土間になっていて人のぬくもりを感じる空間になっている。
この土間は街中のコンクリートでできた空間に負けています(市役所自体はきらびやかで人によっては近寄りがたいもののようですが)
丁度街中にある公園や神社の境内の感じでしょうか、つい足が向いてしまう。
(オリンピック問題、新国立競技場は周囲の環境に負けるものが良さそうです。隈研吾有力な気も)
で、特に公共施設の場合行った先に、負ける建築の中に、「負けない強い人達」が居たら・・・。
ここから先は河井先生の「弱みを見せる市役所・NPO…」
弱みを見せる市役所・NPO…
さあ、負けている空間に人が集まってきましたが、そこに居る人達が
「自分たちは頑 張っているのだ(だから手伝って)と言い続けても、じゃあ頑張れば」という話になります。
ここで弱みを見せることにより「それなら一緒にやりましょう、私が教えますよ…」と繋がるのではないか。
そういう事が「弱みを見せる市役所・NPO…」、市民の協力・参画を引き出す強い市役所ということのようです。
※東海大学の河井教授の言われていることです。河井教授はシティプロモーションの第一人者でもあります。
なるほど。
これは公益社団法人食品容器環境美化協会の「アダプト・プログラム シンポジウム2009」の基調講演にあります。
基調講演は長いので、その部分を抽出・引用させてもらいます
では、どんな人が大事なのでしょうか。どんな力を行政・NPO・アダプト当事者は持たなければいけないのでしょうか。今、何が起きているのかを受信をす る力がとても大事です。こんなことが起きているのだと、自分たちはこういうことをやっているのだという発信する力も大事です。それをつなぎ合わせて、共通 の言葉を作らなければなりません。その上で、あるいはそれに先だって、そういうことだったら一緒にやろう、あるいは分からないなら私が教えますという、そ ういった誘引する力が結構大事です。
これは自分の弱みを見せることでもあると思います。自分たちはここができない、だからという話をいかに前に出すか。それを出さずに、単に自分たちは頑 張っているのだと言い続けても、じゃあ頑張ればという話になります。誘引する力が出来、地域を作っていく職人が生まれてくるととても楽しいと思います。
「負ける建築に引っ張って来て弱みを見せて勧誘する」まるで、夕方の呼び込みみたいですが^^「困っているのね、じゃあ、私のできることで手伝ってあげる」と思わせるって付き合いでは無くて自発の世界です。
これが本当に強い市役所・市民団体なんですね。
その昔、中国大陸の劉邦は項羽のリーダーシップには、はるかに及ばなかった(戦も弱く負けっぱなし)が、助けたり助けられたりする能力はずば抜けていたというようなことを司馬遼太郎は語っていた。(項羽と劉邦 (上) (新潮文庫) )
項羽は最後には四面楚歌になり滅んだが
劉邦は漢帝国を打ち建てる。
あれれ、ただ単に「負けるが勝ち」ということでも良さそうでした。^^