地域参画と「本当のやる気」地域創生成功例

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フェイスブック上で二つの記事がたまたま並びました。

新潟県内の中山間地の「地域創生成功例」と公共コミュニケーション学会の「地域参画総量」

記事が並んでハタと理解できました。

理論と実例だったのです。

双方に実例や理念理論があるのですが、個人的にはこの組み合わせで大いに理解できました。

 「地域参画総量が大きくなって地域創生が成功し続けている」 です。

そこで簡単にまとめました。

 

1、地域参画総量とは

2、地域参画総量を上げるには

3、地域創生成功例1、何もないと思っていた人々の覚醒、越後妻有大地の芸術祭

4、事例2、地震・高齢化・過疎で人口半減するも賑わいは2倍以上に、旧山古志村

5、情報参画について・・togetterとかで視覚化も

 

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1、地域参画総量とは

東海大学の河井孝仁教授が提言されている考え方。

「2015年公共コミュニケーション学会総会・シンポジウム「『地域創生』を越えて シティプロモーションの可能性」での会長理事ウエルカムスピーチ」のスライドショーに書かれている内容から紹介します。

http://www.slideshare.net/tacohtk/ss-49449786

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上記の中を少しキャプチャー、引用

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縦軸: 参画意欲 意欲が上がると総量(面積)が増えます。・・・地域参画総量は「参画意欲」と「定住人口・訪問人口」

横軸: 各種人口 定住人口・訪問人口等が増えるともちろん地域参画総量は増えます。・・・関与人口として考えればWeb関与人口なども

 ということで、どうしたらよいかは想像できますよね。

 

 2、地域参画総量を上げるには

人口がこれからどんどん減ってゆくわけですが「参画意欲」をあげ、さらに訪問人口(交流人口・Web参画人口)をふやせばどんどん地域参画総量はあがるとのこと。


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結論、参画意欲を高め、参画人口を増やすことにより、地域創生が成ります。

(1)参画意欲を高める

(2)参画人口を増やす

この2点をとりあえずやっちゃうですね。

詳しくは上記河井教授の教えをいただくのが本物で最も手っ取り早いことになります。

 

居住人口増やすなどはひとまず置いといて(他市町村から移住させるようなことを考えるような自治体は、同じ手法で今度は首都圏に吸い取られますね。)

どうしたら良いのでしょう。

私見を入れて考えてみます。

(1)参画意欲を高めるには

 ・希望の炎を付ける。

 ・「地域の仲間」と競い合い意欲を高めるもあり。

(2)参画人口を増やす

 ・どうしても行きたいという気持ちの喚起(とってつけたようなものでなく本物を用意)。

 ・ICT・ソーシャルメディアの積極的な利用

 

 それらはどうやってやるのか、いまや世界最大規模の屋外芸術祭とも言われる「越後妻有台地の芸術祭」と、中越地震後人口減少しながらもむしろ大きく活性化している旧山古志村を見ます。

 

3、地域創生成功例1–ここには何もないと思っていた人々の覚醒、越後妻有大地の芸術祭

 芸術祭のことはオフィシャルページをどうぞ

http://www.echigo-tsumari.jp/

  • 「人間は自然に内包される」というこの理念が、「大地の芸術祭の里」のすべてのプログラムに貫かれています。人間と自然がどう関わっていくかという可能性を示すモデル地域となることを目指して、越後妻有の地域づくりは進められています。

この芸術祭開催に携わられた元新潟県庁職員で現新潟県建築士会 常務理事の渡辺 斉氏の「建築士の会報」に寄せられた文から拾います。

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引用: 新潟県が新たに定めた広域圏の振興に向けた牽引的プロジェクトを創造し推進するもので、知事からの指令は、

①市町村の垣根を超えた広域的連携(フルセット主義からの脱却)、

②計画段階からの地域住民の主体的参画、

③地域の独創的な価値をシンクタンクに頼らないで生み出す、

という3つの条件で事業化するようにという、とても困難なミッションでした。  以上・引用

 —住民の主体的な参画に本気で取り組まれたみたいです。

 

引用: そのようななか、地域をくまなく巡り、多くの立場の皆様を取材するなかで、「どうせだめなんだ」「仕方がない」といった自らの地域に対するあきらめの境地の人々が多いこと、いわば「心の過疎からの脱却」が最大の課題であると思いました。  以上・引用

 —あきらめの境地からの脱却、希望に火をつけることができるかいなかが全てを決するとみられたようです。

以下の文はそれを物語っています。

引用: 地元のお年寄りが孫のような「こへび隊」と来訪者をもてなし、ふれあったテント小屋「里の家」もとてもほほえましく居心地のいい空間でした。
 フィナーレの前日、かつて「しんどいから棚田の耕作を止めたい」と言っていたおじいちゃんが、しっかりと私の手を握って「こんな山の中に大勢来てもらって嬉しかった、頑張ってやっていくことにしたよ」と語った言葉は胸に突き刺さりました。  以上・引用

 

 人口減少はどんどん進んでいますが(都会から移住する人もいるのですが)、参画意欲・訪問人口は伸び続けています。おそらく大きな面積の「地域参画総量」です。

 

4、事例2—地震・高齢化・過疎で人口半減するも賑わいは2倍以上に、旧山古志村

yamakoshi

 

「賑わいは2倍以上に」は、私の感覚でそう表現しただけで、金額面はどうか知りませんが来訪する人の数は地震前と比べて2倍どころかもっと増えているのではないでしょうか。どうなんでしょう。

地震の後、数々の復興情報が全国に流れ、また映画「マリと子犬の物語も」その感動と劇中及びエンディングの写真により「美しい山古志」のイメージはさらに広く認識されました。

大勢の人が訪れます。闘牛見学・棚田などの写真撮影・錦鯉バイヤー・被災地見学様々な目的で人が訪れます。

しかし、人口は減り続けています。

山古志もまた参画意欲を高め、参画人口を増やすことに成功し、地域参画総量を大幅にアップした地域と言えそうです。

 その辺をリポートしたサイトがありました。

東日本大震災からの復興をサポートする岩手日報の記事です。

山古志から㊤ 人口減補う外部交流

 iwate

 

 木籠を含めた山古志地区全体の人口も、地震前の2168人から10年間で1132人に半減した。ただ、地震前から14ある集落で消滅したところはない。

記事にあるように、木籠は河道閉塞によって水没した集落であり(先の映画マリと子犬の中にも出てくる地震の二次災害)とにかく集落は壊滅状態だったが木籠ファンクラブが発展し山古志外部から多くの人が来た。

牛の角突きも観光会社とタイアップ、バスの来訪に合わせた大会も開いた。

アメリカから贈られたアルパカも牛飼いの技術で観光牧場化した。

農家の主婦たちが様々な料理を開発し農家レストランも開いた。

地域毎、施設ごとの弁当も作った。

地域を出た人も、山古志の山のふもとの町に住んで農作業に通ってくる。

自分の田畑に行くのに昔は徒歩で30分かかったが、今は麓の町から自動車で30分で行ける。

同じだった。居住していなくても山古志の人なのでした。

全て住民がやりたい事、これなら続けられるかもという取り組み。

山古志も人口減少はどんどん進んでいますが、平野部に降りた人は山古志に通い、地域外のファンは増え続けています、参画意欲・訪問人口はどんどん伸び続けています。おそらくここも大きな面積の「地域参画総量」です。

 とにかく人口が減り、老人比率は上がり、子供が減っている今日、山古志はかつてないほど賑やかなんです。(はた目には)

(問題点に悩んでいる人も内部にいっぱい居ます・・・。それが山古志のリアルな取組になっているのだと思います。)

 

 

妻有も山古志も人口がどんどん減っていますが、かかわりたい、かかわっている人は増えています。

日本の歴史を紐解くと最も住みやすい(仕事も食料もエネルギーもふんだんにある)地域は中山間地だったのです。

そして一番貴重な水資源が豊富なのは雪国。

最高級品、衣類・紙・漁網にも使えるカラムシの産地。妻有と山古志はそうだったと思います。

 

本来とても豊かだった地域から立ち上がったのです。

妻有も各地域ごとに藝術・取組が有りあり、楽しく競っているようです。

山古志もまた地域内で別々の山古志弁当を出したり野菜販売所を出したり仲間で刺激し合っています。

 参画総量が増え続け、地域が創生されています。

 

5、情報参画にについて・・togetterとかで視覚化も

両地域とも情報発信ももちろん熱心です。

妻有の大地の芸術祭は広大な地域に展開しているし作品が奇想天外なものだったりで案内にWebは欠かせません。

最初から詳細な情報を掲載していたように記憶します。

山古志は観光関係のソーシャルメディア活用が目立ちます。観光協会・ゆるキャラ・山古志住民会議等もツイッターやフェイスブックのアカウントをもって日々情報を出し相互にコミュニケーションをとっています。

両地域とも情報面での参画者が増えています。

ちなみに私はまとめサイトtogetterで両地域のイベントを勝手にまとめてきています。(たまに行きますし)

実は私も両地域の地域参画総量の一部なんです^^

下記写真はツールド妻有のもようを写したものです。

この1枚の中に地域参画総量「参画意欲」と「定住人口・訪問人口」が写されています

  • 自転車はおそらく首都圏から参加された夫婦、地域に強くかかわっています—訪問人口・参画意欲
  • 前列のござに老夫婦2組とそのお孫さんらしい2名—定住人口・参画意欲
  • 後列のござに若夫婦と子供2人、行儀のよさからお婿さんのように見え^^娘夫婦が帰郷されているように見えます。—訪問人口・参画意欲
  • これを撮影している人–-訪問人口

jitensha

 上記の写真のほかに様々な人が訪れて妻有の大地の芸術祭について語っています。

全て訪問人口であり強い参画意欲の表れです。

togetter:越後妻有 大地の芸術祭 行きたくなる写真付ツイート

togetter

 ソーシャルメディアは地域参画総量を部分的にですが視覚化できる優れたツールでもありそうです。

地域創生をやられるところは、こういうツールを使わなければなりませんね。かかわってくれる人のつぶやきを取り込まなくては・・・

 いつも通りとりとめなくなりましたが、地域参画総量についてと地域創生成功例でした。

 

※上記の例にある参画は先にあげた河井教授のスライドの中の7枚目の「それぞれの思い」が地域をつくるということなのだと思います。

omoi

そのためにはシティプロモーション・・・という事なんですが、それは、色々検索をどうぞ。

また、河井教授はアダプトプログラムの事も参画という事であげられているのも読ませていただきましたが、山古志でも住民が自主的に沿道の花畑をつくったりしている新聞記事を思い出しました。

シティプロモーションにより自分の地域がよく見えてくると自主的な動きも加速するという事なのだと思います。

 

 

 ※ 地方創生とは: 国内の各地域・地方が、特徴を活かした自律的で持続的な社会をかたちづくること。地域振興・活性化などを指し、、農業、観光、科学技術イノベーションなどさまざまな起点が地方創生のあり方として想定されている。

 

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追記:201711

地域参画総量の発案者でシティプロモーションの第一人者「河井 孝仁」先生の最新刊2冊。

二つとも地方創生などの実態と改善について本音で書かれたバイブルです。

おすすめ。

 

 

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